コロナ禍における「新しい国際貢献」をめざして。
天理中学校でのオンライン国際交流授業を実施

2022.03.01

海外でボランティア活動をしてみたい。現地の人たちと共に暮らし、異文化交流をしてみたい——

天理大学には、そんな学生たちの背中を押し、建学の精神を国際的な舞台で実践していく教育プロジェクト「国際参加プロジェクト」があります。2001年から毎年開催してきた本プロジェクトですが、残念ながら近年の新型コロナウイルス感染症流行の影響であえなく中止が続いていました。

担当教員である関本克良 准教授は、コロナ禍において学生たちが異文化に触れ、国際貢献を実践する方法はないかと模索するなか、日頃より本学と交流のあるJICA関西センター所属の国際協力推進員 福西真実氏の協力を得て、オンラインでの国際交流を“支援“する、新たな形での「国際参加プロジェクト」を実施しようと考えました。

実際に国際交流を行うのは、天理中学校とインドの生徒たち。こどもたちの国際交流を“支援”することを目的とした今回の「国際参加プロジェクト」は、2021年9月から半年間の準備期間を経て進められました。「国際協力演習2」の授業を利用した本プロジェクトに参加したのは、学部の枠を超えた11人の学生です。事前準備として、インド、ニューデリーにあるムニ・インターナショナル・スクールで日本語を学ぶ小中学生に対して、オンライン上でコミュニケーションを交わしながら、日本語指導とインドの文化を紹介するスライドビデオ制作の指導を行いました。

最初はインドについて詳しく知らなかった学生たちも、福西さんのレクチャーや自己学習で徐々に知識が増えるにつれ、またインドの生徒たちとコミュニケーションを重ねることで、“支援活動”を通して、自分たち自身が「国際交流」を関わっていることに気付いたと言います。

国際参加プロジェクトに参加したい——

天理大学入学の決め手が、国際参加プロジェクトだったという曽根みのりさん(国際学部外国語学科中国語専攻2年生)は、
「海外でボランティア活動が出来ないことは残念ですが、コロナ禍でも国際交流を実施する方法はある。オンラインでもこんな風に異文化交流ができるんだと良い意味で驚いています。仲間と協力しながら活動できたことは大きな経験になりました。」
と嬉しそうに語りました。

そして迎えた国際交流特別授業の本番。
当日、学生らは、天理中学校とインド、ニューデリーにあるムニ・インターナショナル・スクールをオンラインで接続。天理中学校の2年生の生徒、約160人と、ムニ・インターナショナル・スクールで日本語を学ぶ小中学校の生徒、約20人のオンライン交流を仲立ちしました。交流授業では、本学の学生から日本語指導を受けたインドの生徒が日本語で、同様に天理中学校の生徒が英語で自己紹介を行いました。
また、天理中学校・インドの双方の生徒が、本学の学生と協力して事前に作成した自国の文化を紹介するスライドビデオをそれぞれに上映し、互いに質問や感想などを交わしました。和気藹々とした雰囲気で交流が進み、参加した中学生からも「普段はなかなか触れ合えない海外の生徒と交流ができて楽しかった」、「授業が刺激になり、もっと英語を勉強したいと考えるようになれた」と好評を博しました。

コロナ禍でなかなか海外に行けないなかで、このような企画に参加できて非常に嬉しい——

そう話すのは、上林晴太さん(人間学部人間関係学科社会福祉専攻3年生)です。
「1年生の時から「国際参加プロジェクト」に参加していて、今年で3回目。2年連続で海外渡航が出来ず、悔しい思いをしていましたが、今回、“支援活動”に転換することでようやく実施することが出来ました。そのおかげで、文化や宗教が違っても共通するものがあるという気づきを得ることができました。この視点を、この貴重な経験を私の所属する社会福祉専攻の学びにも活かしたいと思います。」

国際参加プロジェクトの担当教員である関本克良 准教授は、
「ここ数年は国際参加プロジェクトが実施できず、もどかしい時間が続いていました。今回は、JICAの皆さんの活動からヒントを得て、新しい生活様式における新たな貢献活動を展開できたことを嬉しく思います。本学学生や天理中学校の生徒さんにとっても、英語を使い異文化交流する大切さを実感する良い機会になったのではないでしょうか。」
とプロジェクトの意義を語りました。

さらにJICAの福西さんも、
「インドについて知ろうとする、天理大学生の真面目で積極的な姿勢が印象に残りました。普段はオンラインで日本語交流をする機会がないインドの生徒や、天理中学生にとっても素晴らしい時間になったと思います。今後も同様の取り組みを広げ、JICAについて知ってもらう機会を増やしていきたいです。」
と、今後への期待を込めました。

コロナ禍でも学生の学びへの情熱を絶やさず、彼らの行動力を地域や国際協力の場で発揮できる機会を設けたい。そんな想いから生まれた今回の国際交流特別授業は、新たな地域・国際貢献の形に挑戦する第一歩となりました。
天理大学では、今後も新型コロナウイルス感染症への万全な対策を行いながら、新しい生活様式に対応した国際貢献・地域貢献を実施していきます。