東乗鞍古墳2022年発掘調査

2022.03.03

ニュース

2月10日から23日にかけて、東乗鞍古墳の発掘調査を本学歴史文化学科考古学・民俗学研究コースと天理市教育委員会が共同で行いました。

天理市と天理大学が2014年に締結した包括連携協定のもとに、天理市教育委員会と文学部との間で「天理市内埋蔵文化財の調査・研究に関する覚書」(2017年5月1日)を交わしており、この覚書により、天理市内における古墳などの共同発掘調査が可能となったことから、2018年より東乗鞍古墳の発掘調査を行っています。

杣之内古墳群を構成する主要古墳の一つである東乗鞍古墳は、本学杣之内キャンパスの南方約1.5㎞に位置し、古墳時代後期(6世紀)に築造された全長約83メートルの前方後円墳です。後円部には長さ9メートルほどの横穴式石室があり、内部には石棺が遺存しています。

第5次となる今回の調査区は、後円部南斜面、前方部南斜面、前方部前端南側の3箇所。後円部南斜面と前方部南斜面では、墳丘の構造や段築の有無、盛り土の状況について知ること、また、前方部前端南側では前方部端を見つけることを主な目的としました。
今回の調査では、前端南側の墳端の一部が見つかり、各調査区では土器や土師器をはじめ高杯の足の部分などの遺物も発掘されました。

歴史文化学科考古学・民俗学研究コース 小田木治太郎教授コメント
「この発掘調査は、毎年、天理市教育委員会からのバックアップや旭日大教会様のご協力のもと、大変ありがたい環境で行っております。
今回は、本学学生22人をはじめ、他大学からも3名の参加があり、総勢25人の大所帯となったため、3箇所に分けて広い面積を発掘調査することができました。学生たちは皆熱心に毎日の実習に取り組んでくれました。本学の学生たちは、他大学生の学ぶ姿勢を間近に見ることで様々な刺激を受けたようです。また、他大学生にとっては、こんなに重要な古墳の発掘調査に参加できるというのは貴重な機会なため、万難を排して参加してくれたようです。」

実習に参加した清水妃芳(考古学・民俗学2年、奈良育英)さんコメント
「実習に参加する前に思っていたことと実際の調査では違っていたことが多くて驚きました。様々な道具を使ってこんなに思いっきり掘ってもいいのかと最初は戸惑いました。寒い日もあり重労働で大変なこともありましたが、遺物が出てきたり、違った土の状態を発見した時はワクワクします。その都度、先生に解説を求めて、確認しながら作業を進めることができ、とても楽しく有意義な実習になりました。高校時代に小田木先生の講義を聴く機会があり、そこで考古学に興味を持ち、この実習に参加したくて本学に入学したので、実際に経験できてとても嬉しかったです。」