
THE STORIES #031
見て、聞いて、触れる。台湾が教えてくれた、“レール”の外の広い世界。
国際学部 外国語学科
波多 優作さん
「台湾一周は1200km 、大阪から青森県まで1000km程です。真夏の台湾は故郷大阪よりも気温、湿度共に高く毎日がサウナのようでした。そんな中、15kgほどのバックパック1つを担ぎ、1日に40km程の距離を42日間歩き続けました」


国際学部の波多さん。台湾への留学中に、徒歩での台湾一周を達成しました。
足の裏には水ぶくれができ、皮膚は日焼けで真っ黒。ある時は一日中大雨に打たれながら歩き続けた日もあると言います。
出発前には、地元の人達からも止められた、無謀にも思える壮大な一人旅。
彼を後押ししたのは、どんな想いだったのでしょうか。
「自分だけの宝物を見つけたかったからです。私は台湾が大好きです。日本が被災した時すぐに支援してくれたことや、美味しいものが多いことなど、様々な理由がありますが、やはり何よりも “台湾に出会ったからこそ今の自分がいる”と感じているからだと思います」
実は波多さんは、最初から中国語に熱心に打ち込んでいたわけではありません。
難しい発音や文法に挫折し、勉強に背を向けていた時期もあったそうです。
そんなとき、アルバイト先である人物に出会います。
ワーキングホリデーで来日中の、台湾人の方でした。
「この人ともっと話したい!」
「現地の方は、毎日のように飲み物や食べ物を恵んでくれ、住むところまで提供してくれました。原住民の方々と踊り、朝までお酒を飲み明かしたことや、教会に住まわせてもらったこともあります…毎晩誰かと語り明かしたあの日々は私の宝物です」


その一心で、語学に向き合う決心をした、波多さん。
中国語への熱意が深まり、台湾への留学を決意して、留学中の前期の終わりに、波多さんは冒頭の旅に出発しました。
台湾と出逢って、自分は大きく変わった。波多さんはそう話します。
「昔は安定した生活こそが幸せなんだと信じて疑いませんでした。ですが留学や旅を通じて多くの台湾の方と触れ合い、生き方を共有したことで、他の価値観に気づいたのです。安定=幸せとは限りませんし、お金持ち=幸せでもありません。自分で見て、聞いて、触れて、考えること。重要なのは、自分がどう感じるかだと思います。あのとき、アルバイト先で台湾人の女性に出会わなければ、もし台湾という国にここまで深く入り込まなければ、まだレールの上を歩き続けていたかもしれません」
人生のレールをほんの少し外れて、覗いてみた世界が、人生を、世界の見方を広げた。
今後の波多さんの目標は、日本と台湾を繋ぐ架け橋になることだと言います。
「日本の良さを台湾に広め、台湾の良さを日本に広めたい。日本好きな台湾人を一人でも多く、台湾好きの日本人を一人でも多く増やしたいと思っています」

学んでいる言語が話される国で、さまざまな体験をする。