
THE STORIES #036
寄り道が、ヒントをくれる。楽しみながら思索する、“楽問ノススメ”
文学部国文学国語学科・准教授
西野 由紀さん
「学問は楽しくなければ続かない」
西野 由紀さん(国文学国語学科・准教授)が励みにしている、恩師の言葉です。
日本近世文学を専門とする西野さんが、現在の研究に足を踏み入れるきっかけとなったのは、学生の頃に出逢った”褒めて伸ばす“教授の存在だったと言います。
「正直なことをいうと、学部生の頃はちょっと不真面目な学生だったんです。
教員を目指し、大学院への進学を決めたものの、卒業論文で何を研究しようか迷いました。
そんなとき、とあるミュージシャンが浮世絵についての卒業論文を書いたという記事をヒントに、文学作品の挿絵を取り上げることにしたんです。
意外にもそれを、指導教授が褒めて下さって。
その先生のおかげで、絵を“読む”というテーマのおもしろさに、目覚めました」
楽をすることに流されがちだった、という西野さん。
大学院に進学してから、ものごとを深く考え、楽しみながら思索する“楽問”の喜びに気付いたそうです。
「研究書や論文は、時にミステリー小説のよう。
さまざまに張り巡らされた伏線が、最終的に回収され、“犯人”が浮かび上がったとき、あるいは自分でもそんな文章が書けたとき…これまで蓄積してきた知識が繋がっていくのを感じます。
自分が楽しいと感じていれば良い研究ができるという、指導教授の教えを思い出します」
現在は子育てにも夢中、と語る西野さん。
学生たちに向けて、こんなメッセージを送っています。
「いま役立つかどうか、メリットがあるかどうか。
学生の皆さんは、つい効率から見て優先順位をつけることが多いのではないでしょうか。
ただ、そこで排除したものごとが、直接的ではなくても、目から鱗が落ちるようなヒントを与えてくれることがあります。
固定観念にとらわれず、いろいろなことを楽しみ、貪欲に取り組む姿勢を大学4年間で養って欲しいと思います」
