
THE STORIES #010
雨の日も、風の日も。
苦手なことに、じっくり向き合う。
文学部 歴史文化学科
佐々木 天さん
「私はスポーツが、実はすごく嫌いなんです」
文学部の佐々木さん。毎日往復40 kmの道のりを自転車で登下校する彼女の口から出て来たのは、予想外の言葉。
「でも、身体を動かすのは好きなんです。そんな理由から、勝ち負けとはちょっと違う運動との関わりはないかと考えた結果、始めたのが自転車での登下校でした」
勝利ばかりではない、スポーツとの向き合いかたとは何か?佐々木さんの問いかけに影響を与えたのは、一冊の本だったと言います。
「近藤史絵さんの小説で、『サクリファイス』っていうのがあるんですね。
自転車のロードレースが主軸となるミステリーなのですが、なかでも私にとって印象的だったのは、陸上競技で勝利への重圧に葛藤していた主人公が、ロードレースは精神性がより優先される紳士的なスポーツなのだと知る、象徴的なシーンです。
主人公の気持ちに共感しました」
誰かを負かしたり、争ったり、勝つことばかりにこだわるのではなく、毎日コツコツと、一つのことを続け、自分とじっくり向き合うこと。
文字通り、雨の日も、強風の日も、自転車に乗るのをやめないこと。
そうした日々の挑戦は、佐々木さんに「苦手なものと楽しく向きあう」自信を与え、同時に周囲の支援の大切さを気付かせたと言います。
「立派な人じゃなくていいんです。でも何か一つ、これをやってます!って、胸を張って言える。そんな人になりたいと思っています」

■ 文学部
人文科学の知とこころを極める。