海外での起業をめざして。 インドネシアで私が学んだこと。

THE STORIES #075

海外での起業をめざして。 インドネシアで私が学んだこと。

国際学部 地域文化学科

東川 茉梨亜 ナダプダップさん

「〝言葉の壁〞というと、難しそうなものに思えますが、意外と行動力ひとつで越えられるって、気づいたんです」

 

明るい笑顔で快活にそう話す、東川茉梨亜ナダプダップさん。国際学部地域文化学科アジア・オセアニア研究コースでインドネシア語を専攻しています。彼女がインドネシア語を学び始めたのは、高校3年生の頃でした。

 

「私の父はインドネシア出身です。父方の親戚ともっとコミュニケーションを取りたいという気持ちから独学で勉強を始め、高校の先生のアドバイスをもとに、地元の奈良県でインドネシア語が学べる天理大学に進学しました」

 

東川さんは授業に熱心に取り組みながら、留学生の生活を日本人学生がサポートするチューター制度や、日本人学生と留学生が交流を深められる異文化交流カフェ「アイ・カフェ」でのインドネシア語レッスンも活用し、帰宅後も語学の勉強に熱中。

2019年7月から翌年3月まで姉妹校のパジャジャラン大学へ交換留学も果たしました。

留学中に東川さんがまず驚いたのは、現地の学生たちの学習意欲の高さでした。

 

「出身国も、年齢もバラバラなクラスメイトたちとインドネシア語で交流し、〝言葉の壁〞を越えて、語学力を上達させたことは、非常に良い経験になりました。

また、長期休暇中には1人でバリ島に1ヶ月間滞在し、専門学校で日本語を教えたり、父の実家に2週間ほど滞在したりしました。父の実家がある村には電気やシャワーがないので、井戸で水を掬い、調理場では火をおこすところから生活が始まります。

祖母に豚の屠畜を頼まれたり、周囲を見渡せば、子供たちが食卓に出すための鶏を追いかけていたり……今まで自分が生きてきた世界は狭かったんだ、と改めて感じました」

行動力や環境適応力、コミュニケーション力を身につけ、留学に行く前と後では、全く違う自分になった——そう話す東川さんは当時のことを思い出しながら、懐かしそうに語ります。

 

「電気がないので、星空がすごく綺麗なんですよ。夜眺めていると、手が届くんじゃないかって思うくらいで。このために私はここに来たんだなって思えるほどの光景でした」

 

2020年3月、コロナ禍の影響で東川さんは帰国を余儀なくされました。それから6月中旬までは、日本からパジャジャラン大学の授業をオンラインで受講。アジア・オセアニア研究コースで実施する、在学生とインドネシア人留学生・卒業生によるオンライン交流会など、コロナ禍で学生と海外をつなぐ試みにも積極的に参加しています。

そんな東川さんには、大きな夢があります。

 

「私の夢は、将来インドネシアで起業をすることです。経済成長の著しいインドネシアは、まさにこれからの国。バリ島で健康志向のカフェや日本語学校を経営することをめざしています。また、開発途上にある父の地元にも、何か貢献できたらと思っています。

起業には資金も必要なので、まずは日本で就職してさまざまな経験を積み、40代になる前にはインドネシアに移住できたらと考えています」

 

〝No Muscle, No Life〞——努力すれば必ず結果として現れる。

そんな座右の銘を胸に、彼女は今日も前向きに、夢への準備に励んでいます。