特別授業「文化遺産の保存と活用」で卒業生が講義

2021.12.14

ニュース

12月2日、歴史文化学科の専攻科目「文化遺産の保存と活用」で、本学卒業生の岡島永昌さんによる「文化財行政の最前線を語る―-地域計画認定と日本遺産事務局の経験から-」と題した特別授業が行われました。

ゲストスピーカーとして招かれた岡島さんは、本学の歴史文化学科第2期卒業生で、現在は、王寺町地域調整部地域交流課文化資源活用係係長、また文化財学芸員としても活躍しています。

岡島さんが勤務する王寺町では、文化財保護法改正後すぐに文化財保存活用地域計画を作成し、第1号認定を受けました。特別授業の中で、岡島さんは、その作成から認定、関係事業の実施、さらに、日本遺産認定をめざして取り組んだ経験など、文化財を巡る最前線の動きについて、後輩たちに詳細に語りました。

学生からは次のような感想が寄せられました。

「文化財の活用は行政が行い、地域の人たちはお客さんというイメージでしたが、地域計画を作成し、地域の人たちを巻き込んで文化財保護を行うことで良い循環が芽生えるということを学びました。王寺町で、なぜ雪丸が認知されるようになったのか、疑問に思っていましたが、今回の授業で納得することができました。」

 

「王寺町の取り組みを通して、まず地域の人々に関心を持ってもらうことが文化財の保護と活用につながることを学びました。文化財に対して関心が薄かった地域の人たちも、文化財の活用から観光収入があることで意識が変わり、保存に対する気持ちも高まり、それが町の活性化につながることを学びました。明神山での烽火マップは面白く、参加してみたいと思いました。」

 

「日本遺産と聞くと、世界遺産と同じように特に貴重で保護が必要なものというイメージがありましたが、保存の側面がなく、活用を目的としたものとわかりました。」

 

「活用は文化財を変容させることだから否定的に考えていましたが、保存するためには活用も必要で、バランスが大事なのだと学びました。」

 

「文化財の活用で観光面を重視しすぎると史実から外れてしまう可能性があり、難しい面がある一方、その発信が上手くいったときには大きなやりがいを感じられると思いました。」

 

「文化財を観光資源として見る側面が強くなっているのは、文化財保護法第1条の「国民の文化的向上」の文言とどのような関係があるのかなと考えました。保存するために活用するという考え方は共感できました。」

 

「王寺町の地域計画についていろいろなことが身につきました。日本の文化財はもちろん、私は自分の国であるベトナムの文化遺産をもっと守って世界に広めてゆきたいと思います。自分の国では何が行われ、どんなことが実現されているのか、そして何が日本と違うのかを見つけてゆきたいと思います。」