
THE STORIES #038
数百年・数千年前の事件に、触れる。
文学部歴史文化学科・教授
小田木 治太郎さん
「初めて発掘調査に参加したのは、大学1年生の時です。
炎天下での作業は、体力的にきつい。
でも過去の人が残した痕跡に直接触れているのだと実感できました。
先輩たちが見事に痕跡を見つけ出し、さまざまな道具を駆使して記録していく様を見て、自分もそうなりたいと思いました」
文学部歴史文化学科・教授の、小田木 治太郎さん。
天理大学赴任前は、天理参考館で長年学芸員をつとめた小田木さんは、考古学(日本・中国)・博物館学を専門とし、現在は大学の周辺の杣之内古墳群の調査研究も行っています。
考古学や発掘調査と聞くと、専門的でわたしたちの日常には関わりがないように思いがちかもしれませんが、小田木さんはその魅力を、こんなキャッチフレーズで語ります。
「“過去の鑑識捜査官”です。考古学は、過去の物質資料から、過去の文化を明らかにする学問。その過去の物質資料とは、過去に生きた人の痕跡。青銅器の精巧な文様も、土器のかけらに残るちょっとしたキズも、身体的には今の私たちと何も変わらない過去の人が、大変な苦労をしたり、あるいはうっかりミスをしたりして残したものです。
資料を詳しく観察すると、実にたくさんのことが分かる。時には最新の科学技術を使ってデータをくみ取り、そのデータを組み合わせて過去を復元する。この営みは、事件捜査に当たる捜査員と良く似ています」

そんな小田木さんの考古学への情熱は、学生の頃からだったとのこと。
実際には大学2年生から専門分野を学ぶカリキュラムのところ、1年生のときに考古学の先生の研究室に押しかけていったそうです。
とはいえ、若気の至り。怠けもするし、甘えもするしだったよ。
謙遜しながら過去を振り返り、小田木さんはこう話します。
「人生80年として、大学の4年間はその1/20にもなります。
うまくいかないこともあるかもしれません。
私自身も、切れ味のある仕事に憧れますが、そんな能力は持っていない。
でも、100点満点を取らなければと恐れ、何もできないより、その間に80点や70点のものを作れば合計150点になる。
人生は、平均点ではなく、合計点。そんな風に思う様にしています」
