倫理で挑む、<br>科学の境界線。

THE STORIES #027

倫理で挑む、
科学の境界線。

京都大学iPS細胞研究所 上廣倫理研究部門 特定助教

澤井 努さん

「科学の進歩により喫緊性の増すテーマに挑むことにやりがいを感じています」

京都大学iPS細胞研究所。

ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が所長を務める国内外でトップクラスの研究所に、天理大学の2008年卒業生が在籍しています。

彼の名前は、澤井努さん。

天理大学卒業後に京都大学大学院に進学、英国オックスフォード大学哲学科内のウエヒロ応用倫理研究センターへの留学を経て、現在上廣倫理研究部門に特定助教という身分で所属しています。

理系学部のない天大卒業生が、iPS細胞の研究?と一瞬驚きましたが、実は澤井さんは、細胞を扱う科学者ではありません。

「私は科学者ではなく、倫理の研究者として、iPS細胞研究にともなう倫理的課題を研究しています。

たとえば、iPS細胞から精子や卵子をつくり、利用する研究の場合、どのような倫理的な問題が起こりえるか?どこまで進めてよいのか?など。

学会等における研究発表だけではなく、講演会やメディアでの啓蒙活動など、一般の方への情報発信にも取り組んでいます」

天理大学在学中の研究テーマは、「アメリカ社会の宗教性」。

山倉明弘先生の演習に出席し、2回生の終わり頃には、国際文化学部のカリキュラムの一貫として、米国ケンタッキー州のマレー州立大学にて、文化実習に参加。

このとき長老派教会の家にホームステイしたこともきっかけとなり、宗教学や哲学、倫理学に興味を持つようになったと言います。

「学部生時代にどのような先生と出逢えるかどうかが、その後の研究に大きく影響しますが、山倉先生はとても誠実に研究に取り組まれる方。

テーマとの付き合い方など、研究者としての基本を学ぶことができました。節目節目で、出逢いに恵まれてきたと思っています」

多忙ながら充実した日々を過ごす澤井さんは、学生たちにこう語ります。

「私の経験上、天理大学には学生の可能性を広げるための環境が整っています。

皆さんも様々なことに対して自由に、果敢に挑戦し、視野を広げてみて下さい」

海外実習・研修・派遣プログラム

語学学習とインターンシップに挑戦できるプログラムや留学中に培った語学力や現地の人々とのコミュニケーション能力を生かし、本格的なインターンシップに挑戦するなどさまざまな就業体験が可能。